Kojima Hisaya
Portfolio
Critical Point Day by Day(光の露)

個展
ギャルリ百草
2023年2月4日[土]-3月5日[日]
素材:弾丸、トレイ、ドライアイス(霜)、鉄、LED、模型、太陽光、アクリル球、 アルミ、霧発生装置、水、白い鳩の羽根、ガラス管、アルコールランプ(火)、布、砂、 絞り機構、香、木、プロジェクター、ビデオカメラ、放電加工用電極、クレヨン、紙、 アルミ複合板、スノードーム、ガラス、塗料、色紙、テレビ、アクリル半球、低反射塗料、 ガラス瓶、ハサミ、真鍮、カミソリ、アルミパイプ、鉛筆、金箔、古代箔 など
 Cooperation:Eto Rika, gallery Momogusa

 クリティカルポイント=臨界点とは本来、物質が状態変化を起こすポイント。物質のみならず、世の中の転換点、誕生や死の瞬間。または、とても遠くにあると思っていたものが実はすぐ近くにあると気づいた時。その逆も然り。
 「死はいつ訪れるかわからない」そう思うと、今、生きているこの瞬間、あるいは生きている間はずっと臨界状態にあるとも言える。「太陽が昇り、陽が差し、そして沈み、やがて一日が終わる」これもあたりまえのように日々繰り返される臨界点。
 この地球上で起きているさまざまな現象や事柄は、正直、できるなら目にしたくないものも多い。しかし、それらを無視することはどうしてもできない。戦争の裏返しとして平和という言葉が語られるから、平和という言葉にはやや抵抗がある。それでもやはり今、作品を制作するにあたり「平和」を希求せざるを得なかった。
 展覧会の前年、病を得たからこそ余計「まだこうして生きている。生きてこられたこと」に感謝している自分がいる。すべての人の一日、そのあたりまえの暮らしが積み重ねられた日々“Day by Day”、一人ひとりの日常が世界を動かしている。それを脅かすモノの正体は …。
 そうして思う。「何でもない日」が、これほどまでに尊かったのだと。

Unbirthday

弾丸(使用済み弾頭付き薬莢)を円環状にトレイの上に並べ、内側にドライアイスを入れた。すると、次第に弾丸に霜がつき“ケーキ”のように見える。時間が経つと霜が溶け再び弾丸が露わになる。
ケーキのトレイが乗った鉄板が冷えると、その裏にも霜がつく。霜は、はらはらと雪のように落ち、下段の模型の街路灯と除雪した雪を運ぶ軍用トラックに降り注ぐ。
Retina - 網膜

暗室にした部屋の東壁面に球状の透明アクリルを設置。内側にはサンドブラストを施し、擦りガラス状にした。球と壁との取付面に直径1mmの穴を設け、外光を取り込むと、カメラ・オブスクラの原理により、屋外の風景が球面に像として映る。結像面を球状にすることで、あたかも網膜に映る点対称の像を外側から観ることができる。
Vitreous - 硝子体

暗室にした部屋の西壁面に「Retina - 網膜」と同じくアクリル球と、直径1mmの穴を設置。球体の中は超音波によって発生した霧が充満し白くもやがかかる。そのため、チンダル現象を起こし直射日光が線状に見える。
Air Current

アルコールランプの炎によって起きる上昇気流を使い、シャトル状に組んだ鳩の羽根をガラス管の中に浮かせた。羽根は炎が強ければガラス管から飛び出し、弱ければ炎に接し燃えてしまう。丁度よい加減で気流を受けると、くるくると踊るように回る。
光の露

暗室にした10畳間の畳を白布で覆い、その上に白い砂で波紋を描いた。南からの太陽光を直径約8mmの穴から取り入れることで、カメラ・オブスクラの原理により屋外の風景が部屋の中に映し出される。また室内に香をたくことでチンダル現象が起こり、直射日光が線状に見える。天候や時間により見え方は刻々と変化する。
↑外光を取り入れる直径8mmの穴(建物外部より撮影)
 絞り機構により調光可能
ピース

部屋の中央に置いたテーブルの上に、ライトを照射しながら回転する灯台と、街並みに見立てた金属部品(放電加工用の電極)を置いた。それらをビデオカメラで撮影し、その映像をカメラとほぼ同位置のプロジェクターからリアルタイムで投影する。それによりフィードバック現象が発生し、投影された像は不安定に揺らめく。また、回転する灯台のライトが、カメラとプロジェクターと一直線上に重なる時、光が炸裂する。
↑水屋内に設置した機材
No more Nuclear

地袋天板には、灯台を中心とした円環上にビキニ諸島沖の水爆実験を彷彿とさせるよう軍艦の模型と白砂を配した。
白い鳥

50歳の節目から手掛けてきたシリーズ“Thanks mom! 自画自参”の1枚。雨降りの夜、不安気に家の中で寝ている自分と家族の様子を描いた幼少期の絵が元となっている。その絵を拡張し、ドーム状のバリアを描き足し家を包むことで、安心して過ごしているようにみせた。空には太陽(または閃光)と、平和の象徴である白い鳩を描いた。
No more Dome

3つのスノードームは、左から1945年7月16日に米国ニューメキシコ州で行われた人類最初の核実験「トリニティ実験」、翌月8月6日の広島への原爆投下、同月9日の長崎への原爆投下がモチーフとなっている。 写真で見たトリニティ実験のきのこ雲と、スノードームの形を重ね合わせた。