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豊田の街なかで初めての本格的な現代美術展が始まります。
大正期の料亭で現在は加茂蚕糸の工場跡に建つ喜楽亭をはじめ、豊田市駅周辺の空き店舗や市役所をはじめとした公共施設などで様々な時代の息吹を嗅ぎながら、現代の美術作家9組の新作を通して、私たちが日常を過ごす〈公と私という境界〉を見つめます。 あらためて考えてみれば車とは極端に限定された個人的な空間そのままに公的な外部を走る不思議な乗り物です。 プライベートとパブリックな世界の境界を私たちに意識させるものの一つが、自動車のフロントガラスです。 現代の作家はより積極的に世界と関係性を結び変化していくものを見つめ、普段は気に留めない日常の様々な音や人々の生活を発掘し新たなかたちで聴き取ろうとします。 ここでは絵画だけではなく、映像や音を媒介にした空間的な表現や、さまざまな人たちとの協力によるプロジェクト系の作品を含めて、この豊田という土地の日常の中に差し込まれた作品が対比、対照、延長、反転することで、われわれの日々の光景が変化して見えてくることを期待しています。 2019年8月にはあいちトリエンナーレが、名古屋市の他に初めて豊田市でも開催されます。今回の展示はそのためのスタートでもあるのです。 |
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関西で小島久弥の作品を展示するのは久しぶりだ。ただし、小島は神戸のシティ・ギャラリーでも1988年個展以来90年代まで展示されてきたが、現在は拠点としている中部圏を中心に発表を続けているキャリアある作家だ。 今回の個展における新作は、1945年のニューメキシコにおける人類初の核実験の際の写真から来ているという。爆発直後の膨張した火の玉は、まるでスノードームに似た半円形の球形を示していたという。 ここから先は来た者しか知りえない、不可思議な美しさを示している新作を直接見てもらおう。 曜変天目茶碗の眩惑的美か、はたまた熊谷守一の見たあの朝日の姿か、あるいは超新星爆発か? わたしのこの分裂的な形容は、見えた不可知のものへの驚きを立て続けに既知の美から手繰り寄せたに過ぎない。ではあなたにはどのように見えるのか? 単なる科学的な説明では解消しないものがここにはある。初々しい生命のような見えには、美しくもシリアスなものが残るだろう。(天野一夫) |
