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山村離島を含む愛知県内6か所において、市町村、地域の文化施設、芸術系大学が連携し現代アート作品の制作展示や、作家によるワークショップ、音楽イベント、パフォーマンスなどが行われた「あいちアートの森」。この中の「豊田プロジェクト 知覚の扉II」で、かつて料亭として栄えた喜楽亭で、虚である映像が実際のオブジェクトと関わる、IN ⇆ OUTシリーズ『1/120』を発表した。
日の出から日の入り、そしてまた日の出までの1日を12分に縮めた、実際に撮影した海景を(岩に見立てた)水石の置かれた床の間に投影する。映像(虚)の太陽の光と連動し、水石(実)の映像でつくられた影も伸び方向を変えていく。
やがて映像内の風景が昼を迎えると、窓枠にはめ込まれた絞り機構の開口部が映像と連動し広がり、展示空間に日光が差し込む。しばらくすると開口部は再び閉じ、映像は夕刻から夜へと変化してゆく。床の間の淵に設えた、対岸の明りを模したLEDが点灯する。やがて再び夜明けを迎え、新たな「1/120」が繰り返される。
また、展示空間そのものがカメラ・オブスクラとなり、外の風景が反転し映り込む。その像は時間や天気によっても変化をみせる。
大正時代に建てられた日本家屋という場を活かしながら、作品と現実、二つの時間と空間の感覚をクロスさせた映像インスタレーションである。
名古屋を拠点として優れた作品を展開してきた小島久弥。今展では、床の間に水石を置き、その床を海に見立て、日の出から日没、そして夜という実際の海景に取材した映像を投影しながら、緻密に計算された様々な演出がなされています。現実の喜楽亭の外の景色が反転した影として写りこんでいる闇の部屋に、夜の灯台、星が重なります。タイトルどおり、この一日を12分に短縮しながらも、実際にわれわれのいる時間と場にリンクさせ、二つの時間と空間の感覚をクロスさせた作品です。
天野 一夫 豊田市美術館チーフキュレーター