個展 Critical Point “Re”
 ギャルリ百草
 2005年10月22日[土]- 11月15日[火]
 素材:映像、ミクスドメディア
 Cooperation:Eto Rika, Vamos Crew Co.,Ltd.




それからボクはあの列車が何だったのかを考えつづけていた。小さい頃から親しんだ市電だったのかもしれないし、学生時代に利用していた南近鉄大阪線だったのかもしれなかった。もしかすると昔の黄色い地下鉄だったのかもしれない。ぽっかりと浮かんだふたつの満月が、クレーンに吊られた車両を照らしていた。明るい、昼間みたいに明るい夜だった。それを見上げているボク。時間が止まったような静けさ。
2004年12月4日にみた夢の風景
  Critical Station/夢の世界を具現化したステーション。畳一枚で隔離された縁の下の世界と、外界とを唯一繋げる場。クリティカル・トレインの出発の場であり、すべての作品の出発点でもある。青一色で塗られた背景(空)に、2つの満月を模した電球が光っている。模型のクレーンで吊られた、錆びた模型列車。カーブを描く線路の脇に小さな椅子を配置。トンネルを覗くと“チャーリーホワイト(長年乗っていた愛車の愛称)”のウィンカーモニタの光が見える。





サンプル ⇨







 

Snow on Charlie on Charlie White/“チャーリーホワイト”のルーフの上に、同型のミニチュアを配置。鉄道模型の街路灯が燈り、雪が降り積もっている。虚と実が交差する。ルーフは概念的にクリティカル・トレインと関わる。




Critical Point / Navei String / water from the air/大気中の水は冷やされ霜となる。霜は溶かされ水となり、また水蒸気になり大気に戻る。DNAのようにあるいはへその緒のように、螺旋を描くスクリューは臨界的状況の中、生命の根源である「水」の三様態を見せ続ける。

 

Critical Point / CO2 through the water/水盤に向かい、細いガラス管を放物線を描くように設置。ガラス管からは一定の間隔で、人間の呼吸を模した微量なCO2 が出ている。水盤の中にはパイル加工された雪島があり、その上には、両手でガラス球(光)を支える銀製の女性フィギュア“a woman is catching a light”が立っている。





調べもの ・マーメイド /“ある日、部屋におもちゃの魚のしっぽが落ちていた。魚のおもちゃなど買った記憶のないボクは、それがドコからやってきたのかを思いあぐねていた。そんなことも忘れた頃、部屋の片隅にしっぽの取れた人魚のついたスノードームを見つけた。「あのしっぽはこの人魚のものだったのか!」”プラスティックの(人)魚の尻尾を、図鑑と共に配置。“しらべ”ても、図鑑では見つけられる筈のない正体。誰にでも起こりうるささいな勘違いの中にすら内包される、イメージの臨界点。 10畳間の書院、その空間を二分する大ガラスに人魚のスノードーム(実物)と左右対象に作ったものを配置。光の具合により、左右のマーメイドが重なってみえる。

 




Symmetrical Coincidence /10畳間を二分する大きなガラス板を設置、光の起こす偶然性を可視しようと試みた。ガラス板は概念的にクリティカル・トレインと関わる。
目の高さに銀製の男性フィギュア“a man is thinking about...”を座わらせた。





Navel Stringと積景(風炉先屏風)/Navel Stringは床下まで貫通 しており、クリティカル・トレインと関わる。
 





ヒカリの雨/銀河のイメージ。ガラスは床下まで貫通しており、クリティカル・トレインと関わる。



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